最初に島田荘司の作品に出会ったのは10年以上前になります。
その頃からミステリ界のトップを走っていた、ゴッドオブミステリこと島田荘司。
「占星術殺人事件」を夢中になって読んで「異邦の騎士」で感動して。以来、島田作品のファンです。
テレビドラマやさらには映画化の話題がホットな今オススメ作品を選んでみました。
島田荘司さんの作品は傑作ぞろい! すべてオススメですが、
あえてその中でおすすめ作品を選ぶなら・・・?
この記事のもくじ
おすすめ作品10選
奇想、天を動かす
浅草で浮浪者風の老人が、消費税12円を請求されたことに腹を立て、店の主婦をナイフで刺殺した。だが老人は氏名すら名乗らず完全黙秘を続けている。この裏には何かがある。警視庁捜査一課の吉敷竹史は、懸命な捜査の結果、ついに過去数十年に及ぶ巨大な犯罪の構図を突き止めた。―壮大なトリックを駆使し、本格推理と社会派推理とを見事に融合させた傑作。
島田荘司の作品を読んだことない人は、まずはこれを読んでみてくださいと言い切ります。
ネットなどで検索すると「占星術殺人事件」や「異邦の騎士」など御手洗潔シリーズがオススメされていることが多いですが、僕はまずはあえて吉敷竹史シリーズの一冊である本書をオススメします。
奇想天外な魅力的な謎の数々。それらを引っ張りグイグイと読者をラストまで連れていく文章の力強さが素晴らしいです。僕は島田さんの作品は読者を物語の最後まで連れて行ってくれる文章の力が高いことが魅力だと思います。
その島田作品の魅力を本書は象徴していると考えています。
奇想天外な状況や、少し難しい社会的な背景などもわかりやすい日本語で書かれているのですんなり頭に入ってきます。読み進めるのが楽しい、ずっしりと重厚な一冊です。
北の夕鶴2/3の殺人
「ゆうづる九号」で発見された死体は、別れた妻か!? 吉敷は急きょ青森へ…。北国を舞台に、意表をつくトリックとサスペンスで描くロマンミステリー。
「奇想、天を動かす」と同様に吉敷竹史シリーズの一冊。
ホラーテイスト溢れる作品で、なおかつそれがいい具合に物語の仕掛けに役立っています。
吉敷竹史シリーズは警察ものなので、警察の捜査法を追うスタイルのストーリーでお堅いというか社会派のようなイメージがあります。
本書は島田作品の中でも大トリックが炸裂しています。
怪奇的な雰囲気、トリック、吉敷竹史の物語としてオススメの作品です。
占星術殺人事件
密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。その後、彼の六人の娘たちが行方不明となり、一部を切り取られた惨殺遺体となって発見された。事件から四十数年、迷宮入りした猟奇殺人のトリックとは!?名探偵御手洗潔を生んだ衝撃作の完全版登場!
いわずと知れた御手洗シリーズの一冊です。
あまりにも有名すぎるトリックが有名で、本書は読んだことなくてもトリックだけはなんとなく耳にしたことがあるというかたが数多存在するのではないでしょうか?
ですが、本書の魅力は最大の謎であるトリックもさることながら、そこに至るまでの多数の廃棄された仮説の面白さにあります。はっきり言って謎の解決やストーリー進行にはあまり関係ない衒学的知識のひけらかしですが、それが面白いんです。
斜め屋敷の犯罪
北海道の最北端、宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で、主人の浜本幸三郎がクリスマスパーティーを開いた夜、奇怪な密室殺人が起きる。招かれた人々が狂乱する中で、またもや次の惨劇が……。恐るべき密室殺人の謎を解き明かせるのは名探偵・御手洗潔のみ! 本格ミステリーの逸品。
続いても御手洗シリーズです。
クローズドサークルもので舞台が館です。しかも斜めに傾いている洋館という。
もうワクワクするしかない設定の本書。
ロマン溢れる、超絶トリックに思わず「えー!」という声をあげました。
異邦の騎士
失われた過去の記憶が浮かび上がり、男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活に忍び寄る新たな魔手。名探偵・御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリー『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。
異邦の騎士は外せない名作だと思います。
これに関しては、まず評価やレビューなど一切に読まずに読むことをオススメします。
そして、同じ御手洗シリーズの作品を何作か読んでから読みましょう。
「占星術殺人事件」→「斜め屋敷の犯罪」→「異邦の騎士」 といた順番が良いかと思います。
ロシア幽霊軍艦事件
箱根、富士屋ホテルに飾られていた一枚の写真。そこには1919年夏に突如芦ノ湖に現れた帝政ロシアの軍艦が写っていた。四方を山に囲まれた軍艦はしかし、一夜にして姿を消す。巨大軍艦はいかにして“密室”から脱したのか。その消失の裏にはロマノフ王朝最後の皇女・アナスタシアと日本を巡る壮大な謎が隠されていた――。御手洗潔が解き明かす、時空を超えた世紀のミステリー。
「ロシア幽霊軍艦事件」はおそらくタイトルから受け取るイメージとは全く違った読後感を、
与えてくれる作品だと思います。
わかりやすく言うと「愛」と「勇気」の物語です。
「愛」と「勇気」が知りたいならこの本を読め。
以上です。
最後の一球
母親の自殺未遂の理由が知りたい―青年の相談に、御手洗潔はそれが悪徳金融業者からの巨額の借金であることを突き止める。裁判に訴えても敗訴は必至。さすがの御手洗も頭を抱えたが、後日、奇跡のような成り行きで借金は消滅。それは一人の天才打者と、生涯二流で終わった投手との熱い絆の賜物だった。
大きなトリックや魅力的な謎がある事件がおこったりというタイプの物語ではありません。
ですが、僕は何度も本書を読み返しています。
犬坊里美の冒険
衆人環視の総社神道宮の境内に、忽然と現れて消えた一体の腐乱死体。容疑者として逮捕・起訴されたホームレスの冤罪を晴らすために、司法修習生・犬坊里美が活躍する!里美の恋と涙を描く青春小説として、津山、倉敷、総社を舞台にした旅情ミステリーとして、そして、仰天の大トリックが炸裂する島田「本格」の真髄として、おもしろさ満載の傑作司法ミステリー。
これはタイトルがあんまり良くない気がしているんですが、そのせいもあってあまり期待せずに読みました。
結果見事にハマりました! すごく面白かったです。
御手洗シリーズの脇役として登場していた犬坊里美 が主人公なので、シリーズを読んでいない人にはオススメしにくいですが、ひとつの青春ミステリとして十分に楽しめると思います、
御手洗潔の挨拶
嵐の夜、マンションの十一階から姿を消した男が、十三分後、走る電車に飛びこんで死ぬ。しかし全力疾走しても辿りつけない距離で、その首には絞殺の痕もついていた。男は殺されるために謎の移動をしたのか?奇想天外とみえるトリックを秘めた四つの事件に名探偵御手洗潔が挑む名作。
御手洗シリーズの短編集から一冊。
シリーズを語る上で外せない作品が収録されています「数字錠」や「ギリシャの犬」など、ですが僕がこの短編集の中でのイチオシは「疾走する死者」 です。
トリックがもう唖然とするくらいにダイナミックなんです。
ちょっとそんなことありえないでしょ〜。と思うんですが頭の中では情景がリアルに浮かんでしまう。やはり文章力が凄まじいんだと思います。
龍臥亭事件
御手洗潔が日本を去って1年半。彼の友人で推理作家の石岡は、突然訪ねてきた二宮という女性の頼みで、岡山県まで悪霊祓いに出かけた。2人は霊の導くままに、寂しい駅に降り立ち、山中分け入り、龍臥亭という奇怪な旅館に辿り着く。そこで石岡は、世にもおぞましい、大量連続殺人事件に遭遇した。推理界の奇才が、渾身の筆致で描く本格ミステリー超大作。
最後は御手洗シリーズの節目的な作品と個人的には感じている一冊です。
ですが、この作品も御手洗シリーズを何作か読んだ後に読む法が良いでしょう。
というのもこの作品では今まで助手兼語り役として活躍していた石岡くんが探偵役をつとめるからです。
果たして石岡くんは御手洗抜きで謎を解明することができるのか?
上下巻と二冊の大分量ですが、島田作品の文章のパワーで最後の最後まで飽きることなく読み切ることができます。
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